審査員 Interview

Gugen2013審査員 林信行さんインタビュー

素晴らしいハードウェアを生み出すためには周囲の人のちょっとしたニーズから最先端技術まで、あらゆる事柄にアンテナを張る必要があります。
Gugen2013では、世界の技術に常にアンテナを張り続けるITジャーナリスト林信行さんに審査をお願いしました。
そして今回は林さんに世界を変えたハードウェアを作り出すために不可欠な要素や、将来のハードウェアの潮流についてお話を伺いました。

林信行さんについて

1990年以来、ITの最新トレンドを取材、国内外のさまざまなメディアで解説。
ITベンチャー、リボルバー社の社外取締役の他、2社のアドバイザーも務める。
その一方で、テクノロジーは会社組織から製品まで良いデザインをしてこそ本質的な成功が得られると言う信念を基盤に、大手通信会社や家電メーカーのコンサルティングも行なってきた。JDPデザインアンバサダーも務める。
 
 

林さんが持つ5年後の未来のイメージは?

今から5年前、2008年はちょうどiPhoneや、App Storeが登場したころ。
その頃に紹介していたのは、そのうちエアコンなどの周辺機器がiPhoneで操作可能になるようになるといったことでした。
5年が経過して、当時言っていたことが現実のものになってきたなと思っています。
この5年の間に、iPhoneほど大きなブレイクスルーはありませんでした。
ですが、この5年で人々の生活の中に、あるいは日々の行動の中に様々なデバイスが浸透していって、それらがWi-Fi、Bluetoothでスマホと連携するようになってきています。
たとえば、植物にセンサーを差しておいて、水をあげていないとメッセージが届く装置や、フォークにセンサーが入っていて、何回食べ物を口に運んだかがわかる装置など、行動パターンを支持してくれる装置が登場しています。
今は失敗に見えるかもしれないものが、トライアンドエラーを繰り返して少しずつ一般にも浸透するのが5年後の未来なんじゃないかなと思います。

「未来のふつう」を感じさせるプロダクトと抱える課題

さきほど挙げた例以外だと、ドローン系のプロダクトはおもしろいですね。
来年くらいには、コースターほどの大きさで、顔の周りを飛び回って自分の顔を顔認識し続ける小型のドローンが、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」に掲載されると思います。
ドローンの発展にともなって、プライバシーの侵害など、法律の問題も出てくるでしょうね。
こうしたプライバシーの問題といいますか、法律の問題がありかなしかのどちらに転ぶかによって、5年後の未来がどうなるかが変わってくると思います。
Nike+ Training のような靴の重量バランスで、足のどこに体重がかかっているかを計るようなものも存在し、歩数を計測する「MOVE」というアプリもあります。
そのうち、血糖値や心拍数を測れたりするデバイスも登場するでしょうし、自分の体調をスマホでチェックできることも、5年後には普通になっているかもしれません。
人が持ち歩けるデバイスの数には限りがあり、ある程度の量を生産できるデバイスでないと作ることが難しい。
数多くの人に所持してもらうために、これから先のデバイスは、衣服に付けられるような“デバイスであることを感じさせないこと”が大事になるかもしれません。

「Internet of things」の時代

様々なプロダクトがインターネットと接続するようになり、あらゆる物がインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービスや、それを可能とする要素技術のことを「Internet of things(インターネットオブシングス)と呼びます。
Internet of thingsは最近注目を集める言葉のひとつですが、最近もう一つ、新しいキーワードとして聴くようになったものに「BAN」という単語があります。
LANは「Local Area Network」、それよりさらに範囲が狭くなったものをPAN、「Personal Area Network」と呼びます。
BANは「Body Area Network」、つまり、腕、足、体内など身体周辺のネットワークのことです。
アメリカで開催されたヘルスケアのカンファレンスでは、唾液でスイッチがオンになるカプセルが発表されていました。 これは、このカプセルを手術後などに飲み込むと、体内でスイッチが入り、術後の経過をスマホで見ることができるといった技術です。
これから先、身体の周辺にあるものまで、インターネットに接続していくようになります。

「作りたい」を軸に徹底的に作り込む

自分が何をやりたいのかをしっかりと考えることが大事です。
「こういうプロダクトがあったら、世の中がもっとよくなるのに」というアイデアがあれば、家族や友人に徹底的にヒアリングして意見を聞いて、自分が考えているプロダクトのニーズがあるかどうかを確かめてみる。
そのとき、最初に思い浮かんだやりたいことの軸がブレないように追求することが重要です。
技術主導ではなく、普段の生活の中から得られるヒントや直感を大切にして、いろいろな意見を参考にしながら、徹底的に作り込んでいく。
特に、作りたいものがある特定の市場向けのものであれば、その市場の人たちにも驚かれるようなクオリティのプロダクトにするために、その人達に取材をすること。
ホテルでのウェディングのために開発されたiPadアプリケーション「Wedding Pad」は、結婚式の様々なシーンが想定されており、式をスムーズに進めるための機能が搭載されています。
これは普段ウェディングの仕事をしている人でも納得するクオリティのアプリとなっています。
このように、プロにも「これは確かに必要だ」と認められ、驚かれるような質のプロダクトであれば、口コミで認知度も上がります。
そのためには飛び抜けて良い仕事をしないといけない。良い仕事にするためには、ただ実用的なだけのモノを淡々と作るのではなく、ユーザがどうやったらもっと楽しんでくれるのかを考え、それをクリエイター自身が楽しんで作ることも大事ですね。

自分が手を動かすと「世の中が変わる」という実感

「良いデザイン、正しいデザインとは何か」という話をデザイナーの人たちとする時、「そのデザインを知ってしまったら、そのデザインが存在するより以前には戻れなくなってしまうようなモノ」なのではないかと話しています。
誰も疑問に思っていないけれども、不便なモノや行動は存在していて、それを解決してくれるような技術。その技術によって便利になってしまったら、その技術がなかった頃には戻れなくなってしまうようなものは「世の中を変えている」と私は思います。
自分が作り出したモノによって、仲の良い人の行動が少し変わる、それが世の中を変えるといったことなのではないでしょうか。
大人になるにつれて、「この世の中では、これはこういうものなんだ」と、現在の状態に疑問を抱かなくなっていきます。 ですが、案外、世界はつついてみると変化するもの。
自らのアイデアを具現化していくことで、少しの変化を生み出し、未来は自分で作っているという実感を持ってもらえるといいなと思います。
ぜひ、応募者の皆さんには、見ているだけでこっちまで楽しくなってしまいそうなプロダクトの応募をお待ちしています。

林信行さんを中心にGugen実行委員会メンバーと記念撮影をさせていただきました。

いかがでしたでしょうか。
数多くのトライアンドエラーを経験することで皆さんのプロトタイプもいずれ「未来のふつう」になるのかもしれません。
「それ」がなかった頃には戻れなくなってしまう「未来のふつう」のきっかけになるような作品のご応募をお待ちしております!
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